「ストレンジャー」のマスターサウンド盤は比較的安い価格で中古盤を購入できるものの、「炎」はピンクフロイドが中古市場で絶大な人気があるためか、帯付だと余裕で1万円を超える価格で取引されています。ただ帯なしだと、さほど高騰しなくて、僕は1枚目はヤフオクで、もう一枚目はディスクユニオンでどちらも4000円程度で購入しました。2枚目を購入したのは、「ストレンジャー」の経験から、1枚目は原盤が怪しいと感じたからでした。
それぞれの送り溝の情報はこんな感じでした。
・サンプル1
side1
①P AL 33453 4AD
②30AP-1875A1
③1 A 1+
side2
①P BL 33453-5H
②30AP-1875B1
③1A 3
・サンプル2
side1
①P AL 33453 4AD
②30AP-1875A1
③1 A 22
side2
①HBL 43453-5C
②30AP-1875B9
③COLUMBIA NY
④1 A 4
ということで、サンプル2のside2のみ、米CBSマスターサウンドの原盤を使用している可能性が高いことがわかるのですが、実際、サンプル1,2のSide2を聴き比べるとその違いは歴然で、「Wish You Were Here」の最初のアコギのソロが鳴るところなど、明らかにサンプル2の方が生生しくって、腹立たしさを感じるほどです。
「ストレンジャー」と「炎」の送り溝を見てきて、CBSソニーの送り溝の刻印の見方が、すこしわかってきたような気がします。②の最後の数字が原盤の番号を表していて、③がマザー/スタンパーの番号を表している可能性が高いと思います。だとすると、サンプル1はかなりの初期に制作された盤だと思うのですが、原盤自体がダメダメであれば、初期盤の意義は全くありません。
ピンクフロイドのすざまじい情報量のディスコグラフィー・サイトによると、Side1,2ともに米CBSマスターサウンの原盤を使用した盤が存在するようなのですが、僕はまだ見たことありません。
ただ、上記のディスコグラフィー・サイトによると、「炎」は米CBSマスターサウンドでも当たりはずれがあるようです。
このサイトによると、1stプレスの「HBL33453-2」のマスターはハーフスピード。カッティングなのに、通常スピードのイコライジングをしているとの記載があります。なので、2ndプレスの方がよさげなのですが、CBSソニー盤は上記のサンプル2のように、2ndプレスが使用されています。
このように、調べてみると、レコード盤に関するネガティブな情報が色々わかってくるわけで、情報が少ない中で、プレミア価格のついた盤を購入するのは、とてもリスキーな行為だと思います。サンプル1のタイプのCBSソニー・マスターサウンド盤はプレミア価格が付く価値など全くないと僕は思います。
CBSソニーのHMマスターサウンド盤は僕は他にアース・ウインド&ファイアーのベスト盤を購入しています。こちらは、1500円程度だったように記憶しています。
これの送り溝の情報は、
side1
①HAL 45647-2AJ
②30AP-1876A2
③1 A 22 +
side2
①HBL 43647-2J
②30AP-1876B1
③1 A 23
となっていたので、これについては、早い段階から米CBSマスターサウンドの原盤が使用されていたようなのですが、単に僕が運がよかっただけかもしれません。
このように、「ストレンジャー」「炎」のマスターサウンド盤での原盤の混乱ぶりは、高音質を謳って発売されたものなので、かなりヒドイと思います。まあ、30年以上前の商品なので、販売元に状況説明の義務はないですが、今後も中古市場で、不当な価格で騙されて購入する人がいるかもしれないと考えると、当時の関係者に真相を語ってもらった方がよいと思うのですが・・・
【12/29追記】12/23に500円で開始された、帯付マスターサウンド盤「炎(あなたがここにいてほしい)」のオークションが12/28に17,000円で終了していました。やっぱり、この盤の人気は絶大のようです。果たして、今回出品されたのは、どの原盤が使われたものだったのでしょうか。
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