この日の中京競馬はこのレースとひとつ前のレースで2レース続けて1200m戦だった。ひとつ前のレースでは外からの差しが決まる決着だったものの、このレースは内を通った馬で決着した。このレースだけみると、内が伸びるトラックバイアスがあったように見えてしまうが、実際にはトラックバイアスはなく、内を走った馬が有利になる展開になったということだと思う。こうして展開によって、枠の有利不利が出るということであれば、やはり展開予想は重要であるということを思い知らされたレースとなった。
1.レース結果の基礎データ
2019年 3月24日(日) 2回中京6日 天候: 晴 馬場状態: 良
11R 第49回高松宮記念
4歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝 1200m 18頭立
馬場差 -0.8 完全タイム差 +0.4
タイムランク D メンバーランク C
LAP :12.0-10.1-11.1-11.4-11.2-11.5
通過:33.2-44.6-55.8-67.3 上り:67.3-55.3-45.2-34.1 ミドルペース
このクラスとしては1ハロン目はさほど速くなく、2ハロン目最速から平均ペースで最後まであまり減速しなかったので、前にいた馬が楽ができたペースだったということである。L1Fでの減速がほとんどないので、後方から差す馬の出番はない展開となった。
2.隊列分析
勝負所でペースが上がらなかったことから、直線入り口ではあまり縦長にはなっていないが、外を回った馬はかなりの距離損があったと感じさせられる隊列になった。最後まであまり減速しなかったことから、内の前目にいた馬で決着した。
3.完全タイム差検証
前走からのパフォーマンスの上下差が少ない馬が多いのでかなり妥当な完全タイム差評価だと思う。
4.各馬の分析
1着 3番 ミスターメロディ 福永祐一 1.07.3 33.6
まずまずのスタートから、インぴったりを4,5番手で追走し、直線も内の位置からジワジワ伸びて残り150mくらいのところで先頭に立ち1着となった。
やはり最内をロスなく走れたことで、前半通過ラップ33.2に対して、自身は33.7で前からあまり離されずに回れたのがよかったと思う。それから、この馬は芝1200mは初めてだったが、距離が短縮すれば先行してかつ、L1Fであまり減速しない走りができるということだったかもしれない。つまり芝1200mが実はベストだったということなのではないかと思う。
ただし、今回の完全タイム差は平凡なものだし、枠順、展開に恵まれた面も大きいので、今後も安定的に活躍できるかどうかは微妙。
2着 4番 セイウンコウセイ 幸英明 1.07.4 33.9
好スタートから一旦先頭に立つも、外から来た2頭に差気に行かせ、最内の3番手のポジションをがっちりキープする。4角で他馬が外を回って追い上げる中、インで追い出しを少し待ち、直線入ってスパートして一旦先頭に立つもミスターメロディに交わされての2着だった。
内で好スタートを切りつつも他馬に先に行かせてインのポジションで我慢できたのがよかった。前走はブリンカーを初着用したものの、ブリンカーが効きすぎて暴走したので、その経験をうまく活かせた形になった。この馬の昨年の函館スプリントS勝ちが高速タイム決着だったので、高速馬場への適正があることは示していたが、近走の上がり3ハロンタイムが悪すぎたので軽視してしまったが、函館スプリントSなんかは上がり3ハロンタイム順位13位で勝っているわけで、やはり内枠で先行力のある馬は警戒すべきだったということなのだろうと思う。
3着 7番 ショウナンアンセム 藤岡康太 1.07.4 33.4
後方からのレースとなったが、4角から直線の位置で他馬が外に膨れながら追い上げる中、インぴったしを回って追い上げられたことによる距離得が大きかった。この馬の前走の僕のレース回顧では、「1400-1600戦でスローペースで先行できたときしか好成績を上げたことがないので、1200mのハイペース戦では全く相手にならないと思ったものの、中盤で押し上げるといった今までにない戦法でソコソコ走れたので、今回のレースは収穫があったと思う。」と書いたものの、この戦法がG1レースで通用するとは思えなかったので軽視してしまったが、今回は立ち回りの良さによる距離得もあって通用してしまった。前走感じたような今までと違う走りが出来そうな兆しは、しっかり覚えておいて、よく検討すべきであるとの教訓を得た。
4着 13番 ダノンスマッシュ 北村友一 1.07.5 34.0
まずまずのスタートから、3角でやや強引に内に切れ込み4番手追走の位置を確保する。4角では内の馬の影響でやや外を回る距離ロスがあるものの、直線ではしっかり伸びるかに見えたがさほど伸びず4着だった。
外枠だったことからの距離ロスが大きかった。また、残り3ハロンであまり前が減速しなかったので、この馬のギアチェンジが活かせる展開にならなかった。また、過去2戦は内枠だったことで、距離ロスなく走れて追い出しを待って、最後の加速で勝つパターンでできたが、今回は外枠だったために追走にあまり余裕がなかったことも最後に一足使えなかった要因になっていると思う。なお、3角で強引に内に切れ込んだことにより9番ナックビーナスおよび6番アレスバローズの進路が狭くなったということで、北村友一騎手に過怠金10万円の採決が下っている。
このように、人馬ともにこの路線の主役になるのはまだまだ課題が多いということを示した結果となった。
5着 5番 ティーハーフ 国分優作 1.07.6 33.7
この馬も最内を追走できたことが活きた。この馬大外ぶん回して追い込む形が多かったのに、今回のようにインをロスなく立ち回ることができたのは驚きだった。今期はよっぽど調子がよいようなのだが、この調子ならば、まだまだ重賞で3着以内に入る可能性はあるように思える。
6着 8番 レッツゴードンキ 岩田康誠 1.07.6 33.3
後方でしっかり脚をため、比較的内の位置から上がり3ハロンタイム最速で追い上げてきたが、L1Fで減速しない展開では6着に来るのが精いっぱいだった。この馬としては前半もっとペースが上がってL1Fで減速する展開になって欲しかったところだろう。
7着 16番 デアレガーロ 池添謙一 1.07.8 33.5
大外からしっかり追い上げてきたが、前が止まらない展開では7着まで追い上げるのが精いっぱいだった。直線入り口の隊列図が示すように、外を回った距離ロス、不利は大きい。末脚はしっかり使えていたので、またどこかで好走できるチャンスはありそう。
8着 12番 ロジクライ ルメール 1.07.8 33.7
1200m戦のペースではテンに好位置につけることはできなかった。前走の1400mでも好位は取れなかったが内枠を活かして距離ロスなく走れたことを活かしての3着だった。今回は前走のような立ち回りをすることもできず、直線で大して伸びなかった。
9着 6番 アレスバローズ 川田将雅 1.08.0 34.2
3角でダノンスマッシュで受けた不利が大きかったようだ。このレースは参考外とした方がよさそう。
10着 2番 ラインスピリット 森一馬 1.08.1 34.2
内枠を活かして、残り200mまではいい位置につけていたがその後失速した。内枠の利をまったく活かせなかったので、今後活躍できる可能性は低いように思う。
11着 17番 ダイメイフジ 丸山元気 1.08.1 33.9
外枠ということ以前に末脚不発。やはり少し間隔を空けて出走した後の叩き2戦目のみ走る馬と考えてよさそう。
12着 14番 ペイシャフェリシタ 松田大作 1.08.1 34.2
直線ではジワジワのびではいたものの、外の後ろからでは相手にならず。やはり前走のレース回顧での見立て「この馬は直線でしか伸びれない馬のようだ。3着以内に入れたレースはインをうまく立ち回ったレースが多いので、インで労することなく前目の位置を取れて直線の伸びだけで3着以内に入れるようなレースでないと馬券圏内に入るのは難しいということだと思う。」は正しいと思う。
13着 11番 ヒルノデイバロー 横山典弘 1.08.8 34.3
特にコメントの必要はないと思う。
14着 9番 ナックビーナス 大野拓弥 1.08.9 35.2
芝1200mではかなり長期間好走している馬なので、今回の凡走は3角でダノンスマッシュで受けた不利が大きかったようだ。このレースは参考外とした方がよさそう。
15着 15番 モズスーパーフレア 武豊 1.09.0 35.8
ここ2戦1ハロン目11秒台のペースで楽に先手を取れていたのが、今回12.0にもかかわらず先頭に立つのを苦労していたし、最後の失速も負けすぎなので、調子落ちだったと考えてよさそう。昨年から使ったレース数が多いので目に見えない疲れがあったということなのだと思う。調教師は武騎手に指摘されて初めて調子落ちがあったことに気付いたという趣旨のレース後コメントを出しているようだが、調教師でも判断を誤るくらいだから、調教の良し悪しなど素人にはわかるものではないということなのだろうと思う。
16着 18番 ダイメイプリンセス M.デム 1.09.1 34.6
外枠が不利なだったということはあるものの、全くいいところなしで、ここ数戦凡走が続いていることから復調の兆しが見えるまでは消しでいいと思う。
17着 1番 スノードラゴン 藤田菜七子 1.09.2 34.7
特にコメントの必要はないと思う。
18着 10番 ラブカンプー 酒井学 1.09.3 35.8
やはり復調せず。走る気がなくなっているというような精神的な問題が大きいのかもしれない。
コメント