時計は速いが、大阪杯とは逆にグリーンチャンネルの番組「先週の結果分析」で過大評価されるレースとなった。時計が速いことで、このレースの出走馬が次走過大な人気を集める可能性があるので、しっかりレース回顧したい。内容的には凡戦の部類のレースだと思う。
1.レース結果の基礎データ
2019年 3月30日(土) 3回中山3日 天候: 曇 馬場状態: 良
11R 第51回ダービー卿チャレンジT
4歳以上・オープン・G3(ハンデ) (国際)[指定] 芝 1600m 16頭立
馬場差 -0.7 完全タイム差 -0.7
タイムランク B メンバーランク C
LAP :12.1-10.8-11.0-11.2-11.4-11.4-11.6-12.2
通過:33.9-45.1-56.5-67.9 上り:68.8-57.8-46.6-35.2 ハイペース
2ハロン目最速から、単調で速いペースが続きラスト1ハロンで減速している。ジャパンカップや葉牡丹賞も同じようなペース配分であり、こうしたペースだと、各馬が普段のレース以上のタイムを出すことが多い。多分、レース途中での減速、加速が少ないことから全体のタイムが速くなるということだと思う。
2.隊列分析
直線入り口ではかなり縦長になっており、後方の馬は外を回っている。こうなると後方の馬は絶望的であり、実際、直線入り口で前目につけている馬で決着した。
3.完全タイム差検証
ほとんどの馬が前走よりパフォーマンスを大幅にUPさせているので、典型的な過大評価の完全タイム差である。完全タイム差の差分が少ないドーヴァーとキャプテンベリーの前走のニューイヤーステークスは、今回と同様のハイペース戦で完全タイム差が過大評価されているレースだった可能性が高い。そう考えると今回は1.0~1,5秒くらい完全タイム差を低くみるべきであり、実際にはタイムランクDかE相当の凡戦だったと思う。
4.各馬の分析
1着 2番 フィアーノロマーノ 川田将雅 1.31.7 34.8
好スタートからマルターズアポジーを先に行かせ、3,4番手の位置をキープする。直線入り口で早めに先頭に立ち、最後は後続の追撃をぎりぎり抑えての1着だった。
ハイペースのレースだと、好位追走の馬が早めに追い出し、そのまま粘り切るレースが多いが、今回もそんな展開だった。おそらくハイペースを追走することで脚を使ってしまった馬は最後の直線で何もできなかったということだと思う。この馬はハイペース戦を前の位置で追走できるスピードがあり、それでいて最後までしっかり粘れることが特徴のようだ。この馬の戦績を見ると、川田騎手以外が乗った時には後方から、瞬発力の切れ味で勝負していて、川田騎手が乗ったときには先行力で勝負しているところが面白い。そうした意味ではキセキとキャラが少し被る馬のような気もする。また、この馬も時計のかかる馬場の成績がよくないので、そうした特徴もありそう。そう考えると、今後のこの馬の狙いどころがわかってきそうな気がする。
2着 12番 プリモシーン 福永祐一 1.31.7 34.0
後方から4角でじわじわ押し上げ、最後まで脚色が衰えなかったことで2着に浮上した。
この馬、エンジンのかかりが遅いのだが、単調なハイペース戦だったので、4角で追い上げやすかったのがよかったと思う。また、この馬の前走のレース回顧で馬郡を捌くのが下手なのではと書いたが、今回はハイペースで馬郡がばらけたことも良かったと思う。なので、この馬も今後の狙いどころがわかりやすいと思う。
3着 13番 マイスタイル 横山典弘 1.31.7 34.5
先行グループの一番後ろながら、インぴったりを追走し、直線では最後他馬がバテる中最後まで粘り切り3着を確保した。
この馬は、ハイペース戦の福島記念でも最後まで粘れるところを見せたので、ハイペース戦の適正はありそう。加えてインぴったりを走れたことも良かったと思う。しかしながら、この馬オープンに入ってから、1回おきに好走と凡走を繰り返しているので扱いが難しい。次走は凡走する順番として疑ってかかってよいかもしれない。
4着 14番 ダイアトニック 北村友一 1.31.9 33.4
かなり後方からになったが、4角ではあまり外を回りすぎずに追い上げ、4着になった。末脚は堅実なようだが、ハイペースになると前半の基礎スピード不足で後方に置かれてしまうようだ。今回オープン初戦の4歳馬だったが、前半のペースが遅くなれば、最後の末脚で上位に食い込む場面が見られるかもしれない。
5着 5番 ギベオン 蛯名正義 1.32.0 35.0
ハイペースでもしっかり先行集団につけることができて、最後は上位馬とは持続力で劣ったが、大きくはバテてはいなかった。この馬かなり堅実に走るが、3着以内に入るには中日新聞杯くらいにメンバーが弱くなないと難しいということなのかもしれない。
6着 10番 ロードクエスト 三浦皇成 1.32.1 34.1
後方から、あまり外を回りすぎることなく追い上げてくるが、最後は伸びきれなかった。この馬もここ3戦は自身の能力どおりの堅実な走りが出来ていると思う。この馬の勝ったスワンステークスは今回程度の走りでも勝てる低レベルレースだったということだと思う。
7着 4番 ドーヴァー 田辺裕信 1.32.1 34.2
前走のオープン特別が今回と同じようなハイペース戦で、それを好時計で圧勝したことから、今回1番人気になっていたが、まさに速い時計に騙された過大評価の1番人気だったと思う。実際前回と同じような位置取りだか、最後までしっかり伸びてきているものの、今回のメンバーには通用しなかったということだと思う。
今後も単調なハイペース戦を好時計で好走した馬の次走は基本疑ってかかるべきだと思う。
8着 6番 ヒーズインラブ ミナリク 1.32.2 34.3 10
後方から内を回ってくるもいいところがなかった。この馬のいいところは、馬郡に怯まずインを突くことができることなのだが、昨年のデキにはなく調子がよくなかったのかもしれない。
9着 8番 ダイワキャグニー 石橋脩 1.32.2 34.2
前走、苦手と考えられていた右回りコースのレースで好走していたわりにはいいところがなかった。石橋騎手のコメントによると、「スタートは上手に出てくれました。ただ、道中は内に入れたかったんですが、内の馬が外に張っていたのでなかなか入り込めなかったです。そうこうしているうちに少し気が抜けてきてしまいましたね。調教で乗って、レースでそのあたりは気をつけようと思っていたんですが……。気が抜けたことでポジションが下がってしまいました。行く気に仕向けたかったですが、今日は本気にさせることができなかったです。コーナリングは上手に走れていましたよ。」ということなので、気性的にアテにできない馬ということのようだ。
10着 7番 ハクサンルドルフ 内田博幸 1.32.4 33.5
後方の大外から、最後は一足使うも、位置取りが後ろすぎるので話にならない。馬場が悪くなって直線の時計が極端に遅くならない限り3着以内に入るのは難しそうで、実際、2着になったエプソムカップはそんな感じで最後の直線の時計がかかるレースだった。
11着 11番 カツジ 松山弘平 1.32.6 33.9
ハイペース戦のため、後方に位置しても脚が貯められなかったようで最後の直線でもあまり伸びず。この馬、オープンの低レベル戦で、惜しいと思わせる善戦をしているように見えるので、やや人気になるが、レベル的にかなり弱い馬と考えてよいと思う。
12着 16番 キャプテンペリー 大野拓弥 1.32.8 34.9
前走がハイペースで完全タイム差が過大評価のニューイヤーステークスの2着ということで、ドーヴァーと似たような評価となる。それに加え、この馬の場合大外枠で外々を回る距離ロスがあったとこもマイナス点だったようだ。
13着 15番 エイシンティンクル 和田竜二 1.32.9 36.3
ハイペースを2番手で追いかける積極的なレースであったが、結果的にオーバーペースだったようで、最後失速した。
14着 3番 マルターズアポジー 武士沢友 1.33.0 36.5
ハイペースになり、失速する最近のいつものパターンだった。
15着 9番 ヤングマンパワー 戸崎圭太 1.33.1 36.0
この馬が全くいいところないもの、最近のいつものパターン。
16着 1番 ジョーストリクトリ 柴田善臣 1.33.2 36.4
最内3番手を追走したが、最後は失速して最下位となった。しかしながら最下位といっても、先頭との着差は1.5秒であり、ハンデ戦とはいえ、16頭立てのハイペース戦でこれだけの着差しかないことも、このレースが低レベルの凡戦だったことを示していると思う。
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