毎年荒れるレースではあるが、今回も予想の難しい難解なレースだった。しかしながらレースをしっかり振り返ることで気づかされることも多いので、やはりレース回顧は重要である。
1.レース結果の基礎データ
2019年 6月 9日(日) 3回阪神4日 天候: 曇 馬場状態: 良
11R 第24回マーメイドS
3歳以上・オープン・G3(ハンデ) (牝)(国際)(特指) 芝 2000m・内 16頭立
馬場差 -0.2 完全タイム差 +1.7
タイムランク E メンバーランク D
LAP :12.2-10.9-12.2-12.2-12.3-12.4-12.1-11.8-11.4-12.8
通過:35.3-47.5-59.8-72.2 上り:72.8-60.5-48.1-36.0 平均ペース
前半が速いというより、2ハロン目が特に速くなっていて、勝負所で加速するもL1Fでは大きく減速しているので、スタミナ勝負の持久力戦にもなった。
馬場差からもわかるように今の阪神は力のいる馬場になっている。1番人気のセンテリュオの敗因は馬場と考えられ、京都の高速馬場で好走した馬が苦戦するケースはこの後もありそう。
2.隊列分析
直線入り口では隊列が短く、ここまでは各馬がついていけるペースで直線入り口ではどの馬にもチャンスがある展開だった。
結果的に先行した馬が早々とバテて最降着に、中段の馬が直線でバテて、最後方の馬が上位入線と極端にわかりやすい結果になったが、最初の直線が長く先行争いが激しくなりオーパーペースになりかつ、力のいる馬場の場合はこうした結果になることが起こり得るということは記憶しておきたい。
3.完全タイム差検証
前走との完全タイム差比較では、パフォーマンスを大きく落としたように見える馬が多く難しいが、どうもそうした馬は前走が過大評価だったということで説明できそうだ。例えばパールSは過大評価な完全タイム差だったということ。条件馬が多数出走した牝馬限定戦だけに、この完全タイム差は妥当だと考えられる。
4.各馬の分析
1着 3番 サラス 牝 4 松若風馬 51 2.00.3 34.6
インの最後方を追走するも、勝負所では大外を回り、一気に差し切って1着となった。
日経新春杯の時とか、近走はハンデ戦に多く出走して軽ハンデを活かして先行する競馬が多かったが、前走で追い込みに転じて末脚を発揮する競馬で3着になった。今回は前走の経験が活きる形となったが、後方でじっとしていた分、他馬よりはL1Fの消耗は少なかっただろうし、L1Fが12.8かかったこともこの馬には好都合で、色々ハマった上での勝利だったということは言えると思う。
2着 16番 レッドランディーニ 牝 4 池添謙一 51 2.00.3 35.0
後方の位置になるが、サラスより少し前で、外を回る距離ロスのある追走だったが、4角での加速が速く直線の半ばでは先頭に立つが、ギリギリでサラスに差されて2着となる。
1000万条件戦を勝ったばかりの格下馬だったので、評価が難しかったが、この馬は上がり3ハロンタイムが速いことが多かったので、末脚勝負のレースになると考えることができれば、馬券候補として考えられたと思う。
ソラを使う馬ということなので、最後差されたのは早めに先頭に立ってしまったからかもしれない。
外を回る距離ロスがありながら、コーナーでの加速が速かったので、このレースではかなり強かったと評価できる。好走できそうなレースの幅はサラスよりも広そうだ。
3着 15番 スカーレットカラー 牝 4 岩田康誠 53 2.00.4 35.2
外枠で前半が速いペースだったとこもあり、この馬としてはかなり後方の位置取りになった。4角でも外を回らないようにして我慢して、さらに直線の途中まで追い出しを我慢して、最後にインに進路をとって末脚を発揮し3着に浮上した。
岩田騎手の好騎乗でL1Fが12.8かかったことを活かしたレースをすることができた。
上がり3ハロンタイムはさほど速い馬ではなく、ポジショニングで勝負する馬なので上手い騎手が乗れば成績が安定しそうだ。
4着 4番 センテリュオ 牝 4 北村友一 54 2.00.7 35.2
スタートはよかったが、他馬が速く後方からになる。4角から追い出すも反応は鈍く、ずっと鞭を入れっぱなしの状態でジワジワ伸びてゴール直前でようやく4着まで浮上した。
近走好走が多かったので人気になったが、前走が京都で上がり32.8で勝ったことから、この馬は高速馬場の方がよくて、力のいる馬場は向いていないと考えてよさそうだ。騎手のレース後コメントもそのような内容だった。
5着 8番 ウインクルサルーテ 牝 6 高倉稜 50 2.00.8 35.2
最後方から、直線入り口でサラスより少し内の位置でいい脚で少し伸びたが最後まで続かず5着だった。
後方で脚が貯められてL1Fが12.8かかったわりにこの程度の末脚しか使えないので5着でも全く評価できない。
6着 11番 モーヴサファイア 牝 5 川田将雅 54 2.00.8 35.9
6番手追走から、直線では一瞬先頭に立ちかけるが、L1Fで失速した。
ハンデで見込まれ前走勝っていることから2番人気になったが、前走が完全タイム差+1.8の低レベルレースだったし、その前もスローペースのレースが多かったので、実力はこんなもので過剰人気だったということだと思う。
7着 7番 チカノワール 牝 5 小崎綾也 50 2.00.8 35.4
後方から、外差しの流れに乗じてなだれ込んだだけ。
8着 14番 クィーンズベスト 牝 6 松山弘平 52 2.01.1 36.0
中段追走から4角では外を回る。4角から直線のはじめまでは良い脚を使っていたがその後失速した。
洋芝巧者とも言われているので、北海道で出走するなら見直したい。
9着 1番 サンティール 牝 5 荻野極 52 2.01.2 36.2
中段インを追走できたが、直線では全く伸びず。
10着 2番 ウスベニノキミ 牝 4 酒井学 49 2.01.5 36.1
後方インを追走するも全く伸びず。後方の馬が有利な展開になるも全く何もできなかったので、レベルの差は歴然。まだ2勝馬クラスを走っている馬なので当然の結果。
11着 13番 ダンサール 牝 4 藤岡康太 51 2.01.6 36.9
4番手追走も4角で早くも手ごたえが悪くなり、失速した。
12着 9番 アドラータ 牝 4 坂井瑠星 50 2.01.7 37.4
他馬を少し離しての逃げだったが直線であえなく失速。まだ2勝馬クラスを走っている馬なので当然の結果といえばそうなのだが、こうした格下馬にあっさり逃げを許したわりのは先行馬が苦戦したレースになったということは記憶すべきことだと思う。自己条件ではしればかなり好走できる馬だと思う。
13着 12番 フローレスマジック 牝 5 石橋脩 55 2.01.7 36.9
5番手追走から4角で追い上げ直線入り口で先頭に立つもその後失速。
前走は好位から2着になったが、今回は失速で、この馬過去の戦績を見ると人気先行になることが多い。戦績から緩いペースのレースで好走していることが多いので、やはりこの馬は疑ってかかるのが正解だと思う。
14着 6番 カレンシリエージョ 牝 4 秋山真一 50 2.01.9 36.7
中段イン追走し、直線のはじめは少し伸びるもその後失速。
この馬も2勝クラスを勝ったばかりの実績しかないので、明らかに格下馬だった。
15着 5番 ランドネ 牝 4 M.デム 54 2.03.1 38.4
先行して3番手を追走するも、勝負所の反応が悪すぎて、直線でも全く伸びず。最後は騎手があきらめて流していた。
この馬もスローペースで先行出来た時しか好走実績がないということを覚えておくべき。
16着 10番 レーツェル 牝 4 和田竜二 51 2.03.1 38.5
2番手を追走したが、4角で手ごたえが怪しくなり、その後ズルズル下がった。
この馬もスローペースで先行出来た時しか好走実績がない。まだキャリア5戦ということで、まだ伸びしろがありそうに思わされるものの、2勝クラス勝ちから、さらに上のレベルで好走するのは難しいということだと思う。
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