過去の実績馬が人気薄で激走することは、特にローカル重賞ではよくあることで、このレースはまさにそういう結果となった。過去の同レベルのレースで好走した実績のある馬については、近走の走りっぷりをしっかりチェックする必要があることを、改めて思い知らされたレースとなった。
1.レース結果の基礎データ
2019年 8月18日(日) 2回小倉8日 天候: 曇 馬場状態: 良
11R 第54回テレビ西日本賞北九州記念
3歳以上・オープン・G3(ハンデ) (国際)(特指) 芝 1200m 18頭立
馬場差 -0.2 完全タイム差 +1.1
タイムランク E メンバーランク C
LAP :11.5-10.1-11.1-11.7-11.7-12.1
通過:32.7-44.4-56.1-68.2 上り:68.2-56.7-46.6-35.5
かなりの前傾ラップのように見えるものの、前半が直線で下り坂が続く小倉1200mの重賞としては、厳しいペースではなかった。
2.隊列分析
厳しいペースではなかったことを証明するように、直線入り口ではかなり横に広がり短い隊列となっている。これは勝負所で脱落する馬が少なかったことを示している。また、今回は内の馬場が荒れていたようで、内を避ける馬が多かったこともこの隊列になった要因のひとつになりそうた。この隊列であれば、外からでも差すことは可能であり、実際外差しを決めた馬が上位に来ていた。
3.完全タイム差検証
勝ったダイメイプリンセスは前走より明らかにパフォーマンスをアップさせているはずであり、ディアンドルも斤量差の恩恵によるパフォーマンスアップがあったはずである。それでいて、他の馬がパフォーマンスをダウンさせているように見えてしまっているので、この完全タイム差は明らかに過少評価である。6~8着あたりの馬は前走と同等のパフォーマンスを示したと考え、0.7秒程度は上に見るべきである。そう考えるとローカル重賞としてはそう悪くないレースレベルだったと考えられる。
4.各馬の分析
1着 16番 ダイメイプリンセス 牝 6 秋山真一 55 1.08.2 34.5
後方のやや外を追走から、4角で外を回ってスムーズに追い上げ残り200mでは他馬と比べて一番鋭い末脚を発揮して差し切った。
レース映像を見ると後方外から楽に差し切っていて強い競馬をしたように見えるが、この馬は前半は後方で脚を貯めるスタイルが合っている馬なので、差しが届く展開にならないとどうにもならず、今回はたまたま展開がハマったということは言えると思う。
加えて、この馬の戦績を見てみると、好走は新潟と小倉に集中している。どうやら直線に坂のあるコースはダメそうで、京都コースも騎手のコメントやレース映像を見ると、下り坂のコーナーをスムーズに追い上げることが苦手らしい。
そう考えて改めて、戦績を見てみると、この馬に合わないコースでのレースがしばらく続いていて、前走は休み明けで新潟の直線競馬で内枠でなおかつ前残りの展開であり、それでいて最速から3番目の上がり3ハロンタイムでの6着なので、今回、自身に合ったコース、展開になって勝ったというのは納得できる。
ダイメイプリンセスは昨年の北九州記念の2着馬であり、こうした同じコース、同じクラスで好走した実績のある馬は近走の成績が悪くても、要注意でしっかり検討すべきというのが、今回のレースの最大の教訓である。実績馬が突然復活したかのように見えて高配当になるレースは特にローカル重賞ではよくあるので、こうした結果にもしっかり対応できるような予想をしたいものである。
2着 5番 ディアンドル 牝 3 北村友一 52 1.08.4 35.2
スタートはあまりよくなかったが、二の足の速さを活かしてやや内の5番手を自然な形で追走することができた、4角も内にいたことが活きて自然体で回ることが出来て、直線でもしぶとく伸びて2着となった。
3歳限定戦5連勝は伊達ではないことを示した。この馬は二の足が速く前半速いスピードで走り、その後やや一本調子で駆け抜ける馬のようだ。そのため、今回は斤量が軽いことも最後の粘りにつながったと思う。
なので、今後の古馬戦線では最後に坂があるコースはどうかとか、他馬と斤量差がなくなったときにどうかという疑問がまだ残ると思う。しかしながら前半のスピードは十分古馬重賞で通じることは示した。
3着 11番 アンヴァル 牝 4 藤岡康太 54 1.08.4 34.4
前半はスピードについていけず後方から、4角で追い上げ、差し切り可能な位置まで追い上げるが、直線入り口の隊列図にあるように、前の馬が壁になる位置で直線に入ってしまい、少し追いづらそうであったが、残り200mくらいのところで外に出すことに成功してその後ぐいぐい伸びて4着になった。
オープン特別では善戦できるも重賞ではイマイチな成績の馬であり、今回も単純に前半32.7秒のペースについて行けていない感じであった。それでいて、今回は差しが届く展開になったことに恵まれての3着だったと思う。
4着 13番 モズスーパーフレア 牝 4 松若風馬 55 1.08.5 35.6
好スタートだったが、内にいたイエローマリンバ、ラブカンプーが速かったので3番手に控える。直線でもギリギリまで粘ったもののゴール前で他馬の伸び脚に屈して4着となった。
前走は調教をやりすぎてだったことを受けて今回は調教を軽くしたら、+26キロだったので重め残りになったようだ。休み明けはよく走る馬だったものの、最近はこのように調整が難しくなっているようだ。
このメンバーだったら、前半のずば抜けたスピード能力で最後まで押し切っても不思議でない実力の持ち主なのだが、2戦連続で調整が上手くいかない状況を見せられると、今後は軸には出来ない馬と考えた方がよさそうだ。
5着 18番 ミラアイトーン 牡 5 浜中俊 56.5 1.08.5 35.1
好スタートから積極的に中段の位置を追走する。直線に入ると一瞬外にいたダイメイプリンセスと併せ馬のような形になるも、すぐに交わされたが、最後までしぶとく伸びてはいて5着を確保した。
前半の追走はよかったもののそこで脚を使ってしまって最後まで持たなかったようでもあった。重賞初挑戦であり厳しいペースのレースへの対応力がまだ足りないように思えた。
6着 3番 アレスバローズ 牡 7 菱田裕二 57.5 1.08.6 34.4
スタートで躓き最後方になる。仕方なく外目を回り。4角でも大きく外を回って追い上げて一番大外から最後は追い込んできたものの、6着に終わった。
全体的な走りは悪くなく、内枠からあれだけ大外を回っては距離ロスが大きすぎだろうと思えるレースだった。ちょっともったいないレースとなった。
7着 17番 カラクレナイ 牝 5 大野拓弥 55 1.08.6 35.4
好スタートから積極的に中段の位置を追走したが、最後はまるで伸びず。
追い込み脚質で古馬オープンではなかなか結果が出せなかった馬が、前走は好位差しで久々の1着になれたことから、今回も積極的に位置を取りにいく走りをしたようだが、さすがに重賞では厳しかったということのようだった。
8着 2番 クインズサリナ 牝 5 西村淳也 51 1.08.6 34.9
中段追走から最後は結構粘って1着から0.4秒差ではあったものの、ハンデ51キロが活きてのものだと思う。
9着 10番 エントリーチケット 牝 5 国分優作 54 1.08.8 34.8
後方から外を回って追い上げようとするも大した脚は使えなかった。
10着 4番 イエローマリンバ 牝 4 高倉稜 53 1.08.9 36.2
逃げるも最後まで粘れず。前半のスピード力はあるものの、重賞では能力が少し足りない。
11着 15番 シャドウノエル 牝 4 内田博幸 52 1.08.9 35.4
好位追走から、4角から直線の前半くらいのところでかなりもたつき、最後は少し伸びていた。3勝クラス勝ちからの参戦であったが、かなりチグハグな走りであり、レース展開に合わせて緩急がつけれるようになればどこかで好走することはあるかもしれない。
12着 9番 キングハート 牡 6 小崎綾也 56 1.09.0 35.5
中段の内を追走から直線では全く伸びず。もうかなり長いこと成績不振が続いていて、さすがにもう好走することは無理なのではないだろうか。
13着 12番 ディープダイバー 牡 3 和田竜二 53 1.09.0 35.2
やや後方のインを追走し、最後は大して伸びなかった。斤量の恩恵があっても、古馬重賞のペースは厳しかったようだ。
14着 8番 ファンタジスト 牡 3 武豊 54 1.09.1 34.8
前半も勝負所もついて行けず最後方。最後は大外から少し伸びていたが、明らかに古馬オープンでは能力不足。
15着 1番 ラインスピリット 牡 8 森一馬 56 1.09.2 35.8
中段追走からいいところなし。
16着 7番 ラインシュナイダー 牡 7 藤井勘一 55 1.09.4 35.5
特に見所無し。
17着 6番 ラブカンプー 牝 4 川須栄彦 53 1.09.6 36.8
2番手追走から、最後はズルズル後退。以前のような好走ができずもうずっとこんな状態が続いているので、もう好走は無理だろう。
18着 14番 ナインテイルズ 牡 8 松山弘平 55 1.09.6 36.6
特に見所無し。
コメント