メンバーが揃ったわりには凡戦と言えそうなレースになった。
ダノンスマッシュが勝つレースはいつもこんな感じで、レースレベルがあまり高くないので、ダノンスマッシュは本当に強いのかどうか、今回も疑問が残る結果となった。
1.レース結果の基礎データ
2019年 8月25日(日) 2回札幌4日 天候: 晴 馬場状態:稍重
11R 第14回キーンランドカップ
3歳以上・オープン・G3(別定) (国際)(指定) 芝 1200m 16頭立
馬場差 -0.1 完全タイム差 +0.7
タイムランク D メンバーランク C
LAP :11.9-10.3-11.0-11.7-11.8-12.5
通過:33.2-44.9-56.7-69.2 上り:69.2-57.3-47.0-36.0
かなりのハイペースではあったが、過去のキーンランドCでも前半が33秒台前半になるレースは割とあって、直線の短いコースだけに先行馬が皆崩れるケースは少なかった。なので、今回はペースよりも外差しのきく馬場になっていたことがレース結果に影響したように思える。タワーオブロンドン、リナーテはさほど強い馬ではないだけに、今回のレース結果は着順通りに捕らえない方がよいかもしれない。
2.隊列分析
直線入り口ではさほど縦に長い隊列になっていない。追走に一杯で勝負所で脚を使えなかった馬が少なかったということだと思う。そういう点からもこのレースはあまりレベル差の少ないメンバーのレースであって、全体的からあまりレースレベルは高くないと考えられる。
3.完全タイム差検証
前走とのタイム差に大きな偏りがないので、この完全タイム差は妥当と考えられる。とすると、メンバーの揃わなかったG3戦を走ったタワーオブロンドンや前走がオープン特別だったリナーテは前走とほぼ同等のパフォーマンスで走っていて、この点からもやはりレースレベルは高くないと考えられる。
4.各馬の分析
1着 13番 ダノンスマッシュ 牡 4 川田将雅 57 1.09.2 35.3
好スタートであったものの、回りが速いので一旦中段まで下がる。外枠だったためインには入れずやや外を回る。4角の勝負所から徐々に仕掛けて、ゴール直前がピークになるような末脚を繰り出し1着となった。
外枠だったからということもあってこの馬の特徴の立ち回りの馬さやギアチェンジの速さおよび一瞬のトップスピードの速さを活かすことなく、外から正攻法で力でねじ伏せる競馬となった。こういう競馬で勝てたのはメンバーが弱かったことと外差しがきく馬場だったからという要素が大きいと思う。この勝利でスプリンターズSでの評価はかなり上がったと思うが、今回はそんなに強い競馬はしていないように思える。
2着 7番 タワーオブロンドン 牡 4 ルメール 58 1.09.3 34.9
スタートはよくなく後方から、あまり外を回りすぎないような位置で追走し直線入り口でもまだやや後方だったが、残り200mの少し手前から、鋭い末脚を繰り出し、2着になった。
L2F-L1Fが11.8-12.5でかなり減速していて、この馬が上がり3ハロンタイム最速で34.9だったことから鋭い末脚に見えてもさほどトップスピードが速くないということである。他のメンバーを見渡しても瞬発力に秀でた馬があまりいない組み合わせだったことに恵まれてのことだと思う。1200m戦の実績が今一つなことから軽視してしまったが、平均ペース以上が見込まれ、瞬発力のある馬が少ない組み合わせのレースの場合は要注意の馬ということで記憶すべきなのが今回の教訓となった。
3着 16番 リナーテ 牝 5 武豊 54 1.09.3 35.2
まずまずのスタートから中段の外を追走し、勝負所からはダノンスマッシュをマークする形で追いかけ、直線に入ってダノンスマッシュの外から追い込もうとするも、ダノンスマッシュには追いつけず、それでもジワジワ伸び続けたが、最後はタワーオブロンドンのトップスピードが勝り3着になった。
外を回る距離ロスの大きい競馬で、ダノンスマッシュには明らかに末脚が劣っていて、それでも3着なのでレースレベルが低いのと外差しが効く馬場に恵まれた3着だと思う。
4着 14番 ライトオンキュー 牡 4 古川吉洋 56 1.09.4 35.1
リナーテのすぐ後ろを追走し、直線もリナーテのすぐ外から追い込んでくるもリナーテにはやや劣り4着となった。
このレースのレベルが低いと考えると、リナーテが1着だったオープン特別UHB賞で2着だったこの馬が4着になったことも納得できる。
5着 1番 ナックビーナス 牝 6 岩田康誠 55 1.09.6 36.4
好スタートから先手を取るも、外からライオンボスが競りかけてくる苦しい展開になった。
それでも直線入り口では他馬を突き放す形になったが、最後は外差し勢に屈して5着に敗れた。
ハイペースの先行勢の中で一番強い競馬をしたのは明らか。
それでもこのメンバーで5着のパフォーマンスは不満であるが、海外帰り初戦であり、かなり長期間善戦を続けている馬なので、今後調子を上げることは十分考えられるので、この一戦で衰えたと判断するのは時期尚早でもう少し様子を見たいところ。
6着 4番 セイウンコウセイ 牡 6 幸英明 58 1.09.7 36.3
好スタート3,4番手で追走するも直線では大して伸びず。
ここ2戦好走していたが、もう末脚を発揮出来る馬ではなくなっているので、直線入り口で2番手いないにいなければ馬券圏内に入るのは難しいということのようだ。今回はナックビーナス、ライオンボスと速い馬がいる組み合わせだったので、この馬を狙うべきではなかったと反省している。前半が速い馬がいない組み合わせであればまだまだ馬券圏内に入れる可能性はあると思う。
7着 5番 ペイシャフェリシタ 牝 6 ティータ 54 1.09.8 36.2
最内の4番手を追走。インをロスなく走ったものの直線ではまるで伸びず。
やはり脚が貯められるような走りでないと、末脚が使えないので、好走できるレースの幅は狭し、そもそも能力的にも今一つ。
8着 2番 デアレガーロ 牝 5 池添謙一 54 1.09.8 35.7
インぴったりの中段のやや後ろを追走し、直線ではさほど伸びず。
最後ひと脚使う馬にしては伸びなさすぎなのだが、「下を気にして3角から手応えが怪しくなってしまいました。肩ムチを入れてからもジリジリになってしまいました。」という騎手の結果コメントから、こうした馬場コンディションにより外差しの馬場になっているのではいかと考えられる。
9着 15番 パラダイスガーデン 牝 7 横山武史 54 1.09.9 34.9
最後方追走から、全く人気がないわりには最後伸びたように見えるが、末脚がよい馬が少ない組み合わせだったからということだろう。
10着 6番 ハッピーアワー 牡 3 吉田隼人 54 1.10.0 35.4
後方追走からさほど伸びず。ここでは能力不足。
11着 11番 ライオンボス 牡 4 ルパルー 57 1.10.2 37.0
千直で重賞を勝った馬がどういう走りをするか注目されたが、さすがに前半のスピードは非凡なものがあり、ナックビーナスを終始つついて前半33.2のペースを作る要因になったが、直線に入る前に早々と脱落したので、この馬は1000mまでの馬のようだ。
12着 9番 カイザーメランジェ 牡 4 江田照男 57 1.10.3 36.5
6番手追走から直線で全く伸びず。ここでは明らかに能力不足。
13着 8番 シュウジ 牡 6 三浦皇成 57 1.10.9 36.8
中段追走から何もできず。もう芝レースで馬券圏内に入るのは無理だろう。
14着 12番 ダイメイフジ 牡 5 オールプ 56 1.11.0 37.4
そもそも能力不足に加えて、時計のかかる馬場がよくないこともあったようだ。
15着 3番 サフランハート 牡 6 勝浦正樹 56 1.11.3 36.9
見所無し。
16着 10番 アスターペガサス 牡 3 戸崎圭太 53 1.12.2 38.0
負けすぎの感があるが、戦績から、前半が33秒台前半になるようなレースは全くだめなのかもしれない。
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