1,2番人気が惨敗した波乱のレースとなったが、その割には3連単の配当が5万円台とあまり高くなかった。小頭数だったということもあるが、1,2番人気をあまり信用していなかった競馬ファンが多かったということも言えると思う。確かにレイデオロは2走続けてらしい末脚を発揮出来ていない嫌な負け方をしているので、疑ってかかるのは難しくはなかったのだが、僕としてはここまでメンバーが弱くなったら、3着は外さないと思って、いい配当が期待できないためこのレースの馬券予想をやめてしまったのだが、改めて僕自身の甘さを思い知らされる結果となった。
1.レース結果の基礎データ
2019年 9月22日(日) 4回中山7日 天候: 曇 馬場状態: 良
11R 第65回産経賞オールカマー
3歳以上・オープン・G2(別定) (国際)(指定) 芝 2200m 10頭立
馬場差 -2.1 完全タイム差 +1.1
タイムランク SL メンバーランク C
LAP :12.6-11.2-12.8-12.6-12.6-12.2-12.2-11.8-11.2-11.0-11.8
通過:36.6-49.2-61.8-74.0 上り:70.2-58.0-45.8-34.0
スローペースではあるが、中山のレースらしく、コーナーからペースアップが開始され、東京や新潟や阪神のような究極の瞬発力勝負にはなっていない。スティッフェリオのように瞬発力に劣る馬でも、中山でこういうふうに乗れば勝てるという見本のレースになった。
2.隊列分析
さほど縦に長い隊列ではないが、小頭数ということもあって、見た目は縦長っぽい隊列になっているが、そこはスティッフェリオにより他馬が翻弄されてしまったということなのだと思う。
3.完全タイム差検証
タイムランクSLなので、多くの馬が前走よりパフォーマンスをダウンさせているように見える。0.5秒くらいは速めに見ておくのが妥当だと思う。G2戦としては水準に近い真完全タイム差であり、意外にレベルは低くなかったようだ。
4.各馬の分析
1着 9番 スティッフェリオ 牡 5 丸山元気 56 2.12.0 34.0
まずまずのスタートから、他に速い馬がいなかったこともあってじわじわと前に出江、1コーナー付近で先頭に立つ。その後ゆったりしたペースで走るも、残り800mあたりからゆっくりとスパートを始め、ゴールまで後続との差をキープしたまま1着となった。
レースを見返してみると、残り800mあたりからの地味なスパート(L5F12.2からL4F11.8へアップ)が勝因に見えて、他馬の残り600mからの慌てぶりからして典型的な後続が脚を使わされたレースになったと思う。
この馬ここ2戦G1で凡走していたので軽視してしまったが、G3戦の戦績から小回りコースではこういう競馬ができることも納得。今後も小回りコースのG2,G3戦では警戒が必要な馬ということなのだと思う。
2着 1番 ミッキースワロー 牡 5 菊沢一樹 56 2.12.3 33.4
行く気なく後方から、残り800mあたりでも後方で、直線入り口でも隊列図のように後方の外にいたが、そこから強烈な末脚を発揮し2着となった。
前走の早めに進出とは違って、この馬のいつもの戦法の最後方からになったが、中山の直線入り口の位置としては絶望的な位置にいながら、2着に食い込めたのは他に瞬発力に優れた馬がいなかったためと考えられる。この馬は今回のように展開に左右されることが多い馬なので、軸にはしにくい馬である。
3着 4番 グレイル 牡 4 戸崎圭太 56 2.12.4 33.6
後方3番手でインぴったりを追走する。コーナーでは追い出しを我慢するがインを通ったコーナーワークで直線入り口では馬券圏内可能な位置まで進出したが、内で前が狭かったこともあり、追えなかったかあえて追い出しを我慢したのかわからない状態になるも、残り200mで末脚を爆発させて3着に浮上した。この馬は一瞬のトップスピードはなかなかのものを持っているようだが、今回はその一瞬の脚が最良の形で使えた。さらにインを距離ロスなく走れたこともあり、今回は様々な条件がかみ合った、恵まれた3着だと思う。
4着 8番 レイデオロ 牡 5 福永祐一 58 2.12.4 33.9
グレイルのすぐ外のやや後方の位置を追走する。残り1000mあたりから徐々に前に上がるも、やはり4コーナーでの加速は大したことなく、それでも直線は伸びる見えたが、ゴールまで持たず、グレイルに切れ負けして4着になった。
やや後方を追走した位置取りは、この馬のいい時の末脚を考えたら決して後ろすぎることはなく、福永騎手の騎乗に問題はなく、今回の敗因は馬が能力を発揮出来なかったことにある。ドバイ戦から宝塚記念、今回のレースと、これで3戦続けてこの馬らしい直線の末脚が見られなかった。このことはかなり深刻な状況だと思う。精神面での問題がある可能性が高いように思える。少なくとも突然復調することはないのではないだろうか。
5着 3番 クレッシェンドラヴ 牡 5 内田博幸 56 2.12.5 33.9
まずまずのスタートから、レイデオロ、グレイルのすぐ前の位置といった中団のやや後ろの位置を追走する。4角の勝負所では一瞬離されそうになるも、しっかり喰らいつき、直線でははじめは後退するかに見えて残り200mからはスパートできて5着となった。
G2戦ではやや能力不足と思えるものの、ダメかと思ったところから喰らいついてくる勝負根性はなかなかのものなので、これならばG3戦あたりでは安定して上位に入れるのではないかと思わせるようなレースぶりだった。
6着 2番 ゴーフォザサミット 牡 4 石橋脩 56 2.12.5 34.3
3番手追走からスティッフェリオのスパートにも1馬身差で2番手で喰らいつき、直線ではやや離されるも、かなり粘っていたが、残り100mで他馬に差されて6着になった。
先行して最後まで粘ったレースぶりは悪くない。この馬古馬と戦うようになってからずっとG2戦を使っているため、地味な成績になっているが、G3戦を使えば能力上位である可能性が高いと思う。また、メンバーの弱いG2でも警戒が必要。まだ4歳だし、どこかで穴を空ける可能性は高いと思う。
7着 10番 ショウナンバッハ 牡 8 吉田豊 56 2.12.6 33.6
定位置の最後方追走から追い込んでくるも、7着まで、やはり馬券圏内に入るのは難しそう。
8着 6番 エンジニア 牡 6 津村明秀 56 2.12.8 34.3
5番手で最内を距離ロスなく追走して、直線に向いてからもいい位置にいたが瞬発力が劣るため8着になった。
9着 7番 ウインブライト 牡 5 松岡正海 58 2.13.5 35.1
4番手追走から、残り600mで追い上げを開始するも前との差が詰まらずかなり騎手が焦って馬を押すも反応が悪く、直線でもまるで伸びなかった。ちょっと負けすぎな気もするが、この馬の戦績を見ると、残り600mのラップが11秒台前半になるレースでは惨敗している。これは4コーナーを11秒台前半で走る能力がないのかもしれない。ミドルペース以上のレースになり勝負所のラップタイムがかかるレースでないとダメと考えると、今回無理して4コーナーで脚を使って惨敗したのも納得できる。
なので、今回のこの馬の敗退は調子の問題ではなく、この馬の特性の可能性があるので、次走も軽視せずに注意したい。
10着 5番 トニーファイブ セ 4 藤田菜七子 56 2.16.2 38.0
2番手追走するもコーナーでのペースアップについていけずズルズル後退した。明らかにここでは能力不足
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