堅い配当の決着となったが、各出走馬がそれぞれのキャラクター通りの走りをして、紛れのない決着になったレースだと思う。ただし、レースのレベルは高くなかった。今回のレースをしっかり回顧して各馬の個性を把握しておくことが大切である。
1.レース結果の基礎データ
2019年 9月29日(日) 4回中山9日 天候: 曇 馬場状態: 良
11R 第53回スプリンターズS
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝 1200m 16頭立
馬場差 -1.1 完全タイム差 +0.4
タイムランク D メンバーランク C
LAP :11.9-10.1-10.8-11.3-11.2-11.8
通過:32.8-44.1-55.3-67.1 上り:67.1-55.2-45.1-34.3
ハイペース戦とは前半が速くなる中山1200mのG1でなおかつ高速馬場だったことを考えると、そう無茶苦茶なハイペース戦ではないのでL1Fはやや減速しすぎでこのあたりが、このレースのレベルが高くないということに繋がっていると思う。
2.隊列分析
縦長で細い隊列になり、後方の馬は直線入り口では外に出さざるを得ない展開になった。L1Fは減速していたとはいえ、直線入り口でダノンスマッシュあたりの位置にいないと間に合わない形となった。
3.完全タイム差検証
前走との比較からわずかではあるが+への偏りがあるので、あと0.3秒ほど低く見ておいた方がよいと思う。
4.各馬の分析
1着 8番 タワーオブロンドン 牡 4 ルメール 57 1.07.1 33.5
中段追走から、直線入り口ではやや外目に出して、直線に入ってから加速するとグングン伸びて前の馬を差し切って1着となった。
正攻法な勝ち方であり、マイル路線では末脚のトップスピード能力が少し劣ることを示していたが、現状のスプリント路線では末脚のトップスピードが勝っていることを示した。スプリント戦になれてある程度の位置が取れて追走できたことが強みではあったが、レースレベルがさほど高くないので今後も安定した成績を残せるかは相手次第となる。
2着 7番 モズスーパーフレア 牝 4 松若風馬 55 1.07.2 34.4
好スタートから逃げるも他馬も速くそう大きく離す逃げにはならなかった。最後まで良く粘っていたが最後は差されて2着になった。
正月のカーバンクルSが馬場差-0.4で、前半は今回とおなじ32.8で後半は今回より速い34.2だった。このときは53キロだったので、今回は斤量が2キロ重いことが響いたと考えるのが自然かもしれない。調子の維持が難しくなってきているようだと前回の回顧で書いたが、今回は調子そのものはよかったようだ。なので、この馬はまださほど能力は衰えていないが、53キロ、54キロで走れていた今年の正月あたりが調子のピークだったのかもしれない。
3着 2番 ダノンスマッシュ 牡 4 川田将雅 57 1.07.2 33.7
内枠を活かして上手くインの中段の位置を確保するも4角から直線入り口では前が壁になり、抜ける場所を探している内にタワーオブロンドンに先に抜け出されてしまい、結局タワーオブロンドンの外から追い上げるもなかなか差が詰まらずゴール前で少し伸びたものの3着にとどまった。
今まで弱い相手に圧勝していたこの馬強いのかそうでないのかよくわからなかったが、今回で少なくともトップスピードの速さではタワーオブロンドンに劣ることを示した。ただし、持続力はそこそこあることは示した。
4着 13番 ミスターメロディ 牡 4 福永祐一 57 1.07.4 34.1
外枠から積極的に前の位置を取りに行き、8枠の2頭を前に行かせた後ろの4,5番手あたりを追走し、4角の残り400mの手前当たりからぐんぐん伸びて2番手に上がるも最後は少し甘くなって4着となった。
この馬も強いんだかどうかよくわからない馬なものの、先行して早めにスパートする競馬ではなかなか高い能力があることを示した。
5着 5番 レッツゴードンキ 牝 7 岩田康誠 55 1.07.5 33.4
ダッシュがあまりつかないため後方からになる。比較的内枠だったものの、内が渋滞する展開であったため、最後は一番外を回って追い上げるも届かず5着となった。
イン突きが得意な岩田騎手でもインをあきらめるような隊列になったことが敗因で、L1Fの減速を考えるとインが突ければ3着以内に入れたのではないかと思うので、残念である。この馬いつも自身の能力は出し切り善戦するので、どこかで勝たせてあげたいとつい応援したくなってしまう。
6着 12番 ダイメイプリンセス 牝 6 秋山真一 55 1.07.5 34.0
中段追走から、4角での追い上げはタワーオブロンドンよりスムーズで、タワーオブロンドンのすぐ前の位置で直線ではタワーオブロンドンと併せ馬のような形になったが、タワーオブロンドンの末脚には歯が立たなかった。
新潟、小倉でしか実績のない馬であるが、中山の4角の走りはむしろスムーズで、やはり最後の坂が堪えているようにみえた。まだまだ平坦コースではやれそうな気配はあった。
7着 14番 ハッピーアワー 牡 3 横山典弘 55 1.07.6 33.1
前半は行く気なく後方で極端に内に切れ込み、インを追走し、最後の直線では馬場の外を上がり3ハロンタイム最速の脚で追い込んだが、そもそも前半の走りが遅すぎなので7着に入るのが精いっぱいだった。極端な競馬をしたので上がり3ハロンタイム最速でも全く評価できない。
8着 6番 ノーワン 牝 3 内田博幸 53 1.07.8 33.9
後方追走から、4角から直線入り口にかけては一瞬よさそうな追い上げを見せたがあまり続かなかった。3歳牝馬で53キロの恩恵がありながらもこの程度の走りなので、さほど強くはない。
9着 4番 リナーテ 牝 5 三浦皇成 55 1.07.9 34.0
後方から、前半のペースについて行けない感じで最後もあまり伸びなかったので、追走で脚を使わされてしまった感がある。G1のハイペース戦には対応できなかったということだと思う。
10着 1番 アレスバローズ 牡 7 菱田裕二 57 1.08.0 33.9
前半元々遅い馬ながら行きっぷりはかなりよくなく、4角ではインを突こうと馬の首をインに向けるも馬に拒否されて結局外をつくチグハグな競馬になった。たまに激走するので、内枠に入った場合は気になる存在ではあるが、相手にチョイスするにしてもかなり薄めに考えた方がよさそうだ。
11着 15番 イベリス 牝 3 浜中俊 53 1.08.0 34.8
外枠からでも積極的に前の位置を取りに行ったが、53キロの軽量でもG1レースでは全く通用しなかった。
12着 3番 セイウンコウセイ 牡 6 幸英明 57 1.08.1 34.9
インからでもこのペースでは先手が取れず、インの前から3列目を走るも、外の他馬が速く6番手くらいの追走になる。もう末脚が発揮出来ないので、直線入り口で先頭付近にいないと出番のない馬であり、12着になるもの当然の結果であった。
13着 9番 ディアンドル 牝 3 藤岡佑介 53 1.08.6 35.1
前半は中段の位置でついて行こうとするも、残り600mの手前あたりがらついて行けなくない、騎手の手が大きく動いてもズルズル後退していってしまった。2着に入った北九州記念のラップタイムと比較すると、納得のいく結果でG1の中盤以降のペースに全くついていけなかった。
14着 11番 マルターズアポジー 牡 7 丸山元気 57 1.08.7 35.7
見所無し。
15着 10番 ラブカンプー 牝 4 酒井学 55 1.08.8 35.4
見所無し。
16着 16番 ファンタジスト 牡 3 武豊 55 1.09.3 36.3
先手を取りに行く前走と同じようなレースをしたが、ラップ的には前走とさほど変わらないのに、今回は最後バタバタになってしまった。負けすぎな気もするが、前走の3着がたまたま上手くいっただけで、あまりこの馬は今後も疑った方がよいのかもしれない。
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