強い馬が強い勝ち方をする紛れのない素晴らしいレースになった。超豪華メンバーと言われながら極めて順当な結果になったので、しっかりレース回顧しておきたい。
1.レース結果の基礎データ
2019年10月27日(日) 4回東京9日 天候: 晴 馬場状態: 良
11R 第160回天皇賞(秋)
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝 2000m 16頭立
馬場差 -2.0 完全タイム差 -0.5
タイムランク B メンバーランク A
LAP :12.8-11.4-11.5-11.6-11.7-11.6-11.3-11.1-11.3-11.9
通過:35.7-47.3-59.0-70.6 上り:68.9-57.2-45.6-34.3
前後半のバランスではスローとなるが、高速馬場であるため全体的に速いラップになっている。さらにL4Fからペースアップしているので持続力が試されるレースとなった。高速馬場適正と持続力が問われるレースとなった。
2.隊列分析
あまり長い隊列にはなっていないが、前にいた馬が強いので後方から追い込むことが難しいレースになった。
3.完全タイム差検証
やや過大評価で0.5秒程度低く見た方がよさそう。それでも、今年の水準からはレベルの高いレースであったことは間違いない。
4.各馬の分析
1着 2番 アーモンドアイ 牝 4 ルメール 56 1.56.2 33.8 1 480
好スタートから難なく最内で前から5,6番手を追走する。コーナーから加速が始まっているものの、最内で距離ロスなく走れていることから全く慌てず、直線のL2Fくらいから一気に加速すると一瞬で先頭に立ち、その後3馬身差をつけて圧勝した。
好スタートを決めて、最内を先行することが出来た時点で、ほとんどの人はこの馬の勝利を確信したと思う。この馬が、後方から届かない場面はあっても、直線で伸びないレースをしたことはないので、今回も期待どおり、あるいは期待以上の末脚を発揮してくれた。今回は上がり3ハロンタイムは2位であるが、同じように先行した昨年のJCも上がり3ハロンタイムが2位であり、それ以外の日本のレースではすべて上がり3ハロンタイムは1位となっている。現役最強馬と言っていいと思う。
2着 9番 ダノンプレミアム 牡 4 川田将雅 58 1.56.7 34.5 3 508
好スタートからアーモンドアイのすぐ外の少し前の位置を追走する。直線に入っても楽な手ごたえで加速すると一旦先頭に立つが後から加速したアーモンドアイには一瞬で抜かれ、ゴール前では脚色が鈍りアエロリットに差し返されそうになるがギリギリ2着になった。
高速馬場でスローバランスであればこの馬の先行力はかなりのものであるが、持続力は今一つであることを示した。今回もう少し速いペースになれば連対も危なかったと思う。
3着 5番 アエロリット 牝 5 戸崎圭太 56 1.56.7 34.8 6 516
難なく先頭に立ち他馬にからまれることなく楽に先行することができた。直線に入って一旦脚色が鈍るものの、坂上から再加速して最後まで3着に粘った。
坂上で2枚腰を使ったのは毎日王冠と同じだった。この馬の能力からするともっと速いペースで逃げても良かったのではないかと思うものの、結果はさほど変わらなかったと思うので、スローバランスにしたのは正解だったのだろう。このレースはアエロリットに絡んできそうな馬はいない組み合わせだったので、ややスローになる可能性が高いと考えるべきであった。
4着 6番 ユーキャンスマイル 牡 4 岩田康誠 58 1.56.8 33.7 7 488
まずまずのスタートであったが、他馬が速く、後方から4番手の位置となる。L4Fからのペースアップにしっかり反応し最後までジワジワ伸び続け惜しい4着となった。
後方から押し上げてきたのはこの馬だけだったので、能力が高いことを示した。ただし、前半の追走力が今一つということも示した。JCではもう少しペースが緩くなれば、かなり有力な1頭になる。新潟記念で感じられた成長力は本物だったわけだが、今回のレースでこの馬の能力に多くの人が気づいてしまったので、今後はあまり高い配当は望めない。このレースで3着以内に入って惜しいところだった。
5着 14番 ワグネリアン 牡 4 福永祐一 58 1.56.8 34.0 4 462
好スタートから先行争いに加わろうとするも他馬が速く中段の後方の11番手あたりを追走する。勝負どころからじわじわと最後まで伸び続け5着となった。
この馬としてはやや後方の位置取りになって、それが最後まで伸びたことにつながったが、そう鋭い伸び脚ではなかった。それでいて、前半前にいくと最後まで脚が持たないので、強い組み合わせになると連対するのは難しくなるということだと思う。
6着 10番 サートゥルナーリア 牡 3 スミヨン 56 1.57.1 34.9 2 502
スタートは今一つに見えたが、瞬時に内に切れ込みインで前から3番手の位置を確保し追走した。残り300mくらいのところでスパートして一瞬伸びたが伸び脚は続かず6着に後退した。
パドックでは落ち着いていたが、レースでは終始力んでいたとのこと。だが、僕はこの馬の持続力に疑問を持っていたので、この結果に驚きはない。序盤で瞬時に好ポジションが取れる反応の速さはさすがだが、持続力勝負では分が悪くなるということだと思う。
7着 4番 スワーヴリチャード 牡 5 横山典弘 58 1.57.1 34.3 5 514
序盤の先行争いでは後方の位置取りであったが、内枠を活かして3コーナーの終わりあたりで少しポジションを押し上げる、そのため、4角のペースアップ時ではインを距離ロスなく走ることで楽をしたが、直線で追い出すと末脚は大したことなかった。
インで上手く立ち回っての7着であり、全く評価できない。この馬のよいところであった瞬間的な加速の速さは全く見られなかったので、もう旬は過ぎた馬ということだと思う。
8着 15番 ウインブライト 牡 5 松岡正海 58 1.57.3 34.8 12 486
外枠だったが、序盤の脚が速く、ダノンプレミアムのすぐ後ろの位置につけることに成功するが、直線では伸びずバテずの8着だった。
前半の走りはよかったが、前走の回顧にも書いた通り、勝負所で11秒台前半が続くレースでは好走実績がないので、この程度の走りだったということ。
9着 3番 ケイアイノーテック 牡 4 幸英明 58 1.57.5 34.2 14 468
後方から2番手を追走から直線では最内をついてちょっとだけ伸びた。
10着 8番 マカヒキ 牡 6 武豊 58 1.57.6 34.4 8 504
後方3番手追走から、勝負所で押し上げようとして大外を回るも大して伸びなかった。
11着 11番 ゴーフォザサミット 牡 4 北村宏司 58 1.57.7 34.7 16 502
中段後方を追走。直線では全く伸びず。
12着 7番 スティッフェリオ 牡 5 丸山元気 58 1.57.9 35.9 11 448
2番手で先行するもL2Fの位置で力尽きて後退した。やはり直線の短いコースの方がよいのだろう。
13着 1番 カデナ 牡 5 藤岡佑介 58 1.58.4 34.7 10 472
前半はついていけず最後方から、直線でも少ししか伸びなかった。-2.0秒の超高速馬場には対応できなかったということのようだ。
14着 16番 アルアイン 牡 5 北村友一 58 1.58.7 36.1 9 516
やや出負けして外から前に取り付こうとするも中々前にいけず、結局外の中段を距離ロス多く追走することになり、最後は全くいいところなかった。大外が堪えたのはあるが、前半のスピード不足は明らかだった。内枠で時計のかかる馬場でないともう好走できないのかもしれない。
15着 13番 ランフォザローゼス 牡 3 M.デム 56 1.59.1 36.2 13 490
中段追走するも、直線ではまるで伸びず。
16着 12番 ドレッドノータス セ 6 坂井瑠星 58 2.00.1 37.5 15 462
3,4番手で先行するも直線でズルズル後退した。
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