ラッキーライラックが新境地を見せたかに見える勝ちっぷりだったが、冷静に評価してみると色々恵まれた点が多いので、あまり高く評価しすぎない方がよいと思う。そのあたりを踏まえてしっかりレース回顧したい。
1.レース結果の基礎データ
2019年11月10日(日) 5回京都4日 天候: 晴 馬場状態: 良
11R 第44回エリザベス女王杯
3歳以上・オープン・G1(定量) (牝)(国際)(指定) 芝 2200m・外 18頭立
馬場差 -0.6 完全タイム差 +2.5
タイムランク SL メンバーランク C
LAP :12.7-11.6-13.3-12.7-12.5-12.8-12.3-11.6-11.5-11.4-11.7
通過:37.6-50.3-62.8-75.6 上り:71.3-58.5-46.2-34.6
スローペースでL4Fから速くなっているように見えるラップだが、これはクロコスミアだけのもので、他馬については直線から速くなりトップスピードの質が求められる瞬発力勝負となった。
2.隊列分析
スローペースなのに直線入り口で縦長なのはクロコスミアが早めにペースアップしても他馬がついていかなかったためである。これは2番手にいた有力馬ラヴズオンリーユーがクロコスミアを追いかけなかったことが要因となりそう。
3.完全タイム差検証
SLなので当然ながら過少評価。あと1.2秒は速くみるべき。ただ、それでも真完全タイム差+1.3なので低レベルレースとなる。
4.各馬の分析
1着 2番 ラッキーライラック 牝 4 スミヨン 56 2.14.1 32.8
スタートはあまり速くなく、内枠を活かしインぴったりのポジションを確保して中段の位置と、この馬としてはやや後ろの位置で追走する。L3Fを少し過ぎたところからスパートしインぴったりを最後まで伸び続け1着となった。
先行して最後甘くなる馬ではあるが、スミヨン騎手の好騎乗によりL1Fでトップスピードに乗せれたことが大きい。この馬は最後の勝負根性が今一つな弱点はあるが、L1Fではクロコスミアが減速していて、他馬の瞬発力が今一つだったことから接戦にはならず自然体で抜け出すことができた。さらにインを距離ロスなくぴったり回れたことも大きい。
このように、色々恵まれたことはたしかなので、元々の能力から今回さらに大きく成長したとは考えない方がよい。
2着 6番 クロコスミア 牝 6 藤岡佑介 56 2.14.3 34.8
序盤に競りかけてくる馬がいなかったので、楽に先行することができた。残り1000mすぎからペースを上げ2番手以降を大きく引き離し、最後まで粘り切り2着となった。
他に先行する馬がいなかったことが大きかったのだが、ラッキーライラックがいつもの先行策を取らなかったことと、2番手にいたラヴズオンリーユーが速めのペースアップについていかなかったことが大きく、早めのペースアップでセーフティリードを取ることができた。藤岡騎手の好騎乗によるところが大きいが、この馬のロングスパート時の持続力が高かったことによる2着だった。
3着 11番 ラヴズオンリーユー 牝 3 M.デム 54 2.14.3 33.8
好スタートから2番手のポジションを確保。直線まで追い出しを我慢し、直線に入ってやや右にヨレるのを左に矯正しながら伸びるも大した伸び脚は出せず3着になった。
スローペースなので2番手につけたデムーロ騎手はさすがだった。クロコスミアの早めスパートについていかなかったことを批判する人が多いようだが、僕がオークスの回顧で書いたようにこの馬はコーナーの加速ができないので、早めのスパートについていけなかったということだと思う。さらにオークスの回顧で書いた「瞬間的なトップスピード能力はそう高くないように思う。」は正しくスローのトップスピード戦では劣ることを示した。それでも3着に入れたのは他に瞬発力に秀でた馬がいなかった点に恵まれたが、2番手にいながらクロコスミアについていかなかったことで他馬が幻惑されたことも大きかったかもしれない。
4着 12番 センテリュオ 牝 4 ルメール 56 2.14.4 33.7
スタートは速くなく中段の位置にいるが、スローペースだったので2コーナーあたりで外から前に出て、向こう正面に入るころには3番手の位置につける。L3Fあたりからスパートしてしっかり伸びたが前を差し切るほどの脚はなく4着となった。
3番手につけたポジショニングによる4着であったとことが大きく、あまり評価すべきでない4着。
5着 8番 クロノジェネシス 牝 3 北村友一 54 2.14.4 33.3
好スタートから4列目の最内のポジションを取り追走するが、直線ではさほど伸びず5着だった。
ポジショニングがよい立ち回りの上手さは示したが、トップスピード能力が足りなかった。この馬も流れる展開の方がよい。騎手のコメントによると早めのペースアップは馬が初めての経験で戸惑ったということもあるようだ。秋華賞を勝ったとはいえ3歳限定戦なので、実力的にもこの程度と見た方がよいと思う。
6着 17番 サラキア 牝 4 川田将雅 56 2.14.5 33.5
好スタートから4,5番手を追走するも最後は大した末脚ではなかった。
6着までラッキーライラック以外は先行するポジションを取った馬なので、やはりスローの瞬発力勝負に秀でた馬が少ない組み合わせであったとこを示している。
7着 16番 スカーレットカラー 牝 4 岩田康誠 56 2.14.7 33.6
この馬としはやや前の位置になる中段の外を追走し、直線に入って伸びるも残り100mで止まった。
外枠だったことからインのポジションが取れず序盤は少しかかっているようにも見えた。それでも最後止まったのは案外で、東京では長い直線を伸びきれたのになぜとも思うのだが、この馬の戦績を見ると極端なスローペース戦では好走できていないので、究極のトップスピード戦は向かないということなのかもしれない。
8着 9番 アルメリアブルーム 牝 5 武豊 56 2.14.8 33.3
後方追走だったが、L1Fでかなりの伸び脚を見せていた。レベルの低いオープン特別戦ならば好走出来る可能性はありそう。
9着 13番 サトノガーネット 牝 4 坂井瑠星 56 2.14.9 33.2
後方の大外からしっかり伸びた。いつも最後はひと脚使うが前半の追走力がない。ただしこの馬オープンに入って牝馬限定でがあるが重賞しか使っていないので、オープン特別戦では好走の可能性がある。
10着 10番 フロンテアクイーン 牝 6 津村明秀 56 2.14.9 34.2
先行して3,4番手を追走するも最後は止まった。やはりこの馬は56キロで好走実績がないので、先行力はあるが斤量が重いと持続力が持たないということだと思う。
11着 4番 ウラヌスチャーム 牝 4 マーフィ 56 2.15.1 33.5
後方追走から何もできずに終わった。
12着 14番 ゴージャスランチ 牝 4 幸英明 56 2.15.3 33.3
後方のまま見せ場なし。
スタートで暴れて後手を踏んで自身のレースができなかったということはありそう。
13着 7番 レイホーロマンス 牝 6 岩崎翼 56 2.15.5 33.6
後方のまま見せ場なし。
もう好走は無理そう。
14着 18番 レッドランディーニ 牝 4 池添謙一 56 2.15.5 33.9
後方のまま見せ場なし。
15着 3番 シャドウディーヴァ 牝 3 松山弘平 54 2.15.5 33.8
後方のまま見せ場なし。
16着 5番 ポンデザール 牝 4 藤岡康太 56 2.15.8 34.4
中段インのポジションを取るが最後は全く伸びず。
やはり前走の圧勝は斤量が50キロだったことが大きかったようだ。
17着 15番 ミスマンマミーア 牝 4 浜中俊 56 2.16.0 33.7
後方のまま見せ場なし。
18着 1番 ブライトムーン 牝 5 福永祐一 56 2.16.2 34.1
後方のまま見せ場なし。
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