古馬G2戦ながら実績イマイチのオープン馬と条件クラス馬の出走となり、前走3勝クラス戦出走馬が3着までに入る結果となった。このことから低レベルなレースであったことは確かなのに、グリーンチャンネルの番組「先週の結果分析」では完全タイム差が水準より0.3秒速いタイムと評価されている。完全タイム差はレースのレベルを計る指標としては決して鵜呑みにして使用することができないものということを示す好例になったのではないかと思う。
1.レース結果の基礎データ
2020年 1月19日(日) 1回京都7日 天候: 曇 馬場状態: 良
11R 第67回日経新春杯
4歳以上・オープン・G2(ハンデ) (国際)(特指) 芝 2400m・外 14頭立
馬場差 +1.8 完全タイム差 -0.3
タイムランク C メンバーランク C
LAP :12.6-11.2-11.9-12.9-13.0-12.9-12.1-12.8-12.2-11.8-11.7-11.8
通過:35.7-48.6-61.6-74.5 上り:72.4-60.3-47.5-35.3
中盤しっかりペースが緩んでいて、勝負所のペースアップが早く持続力勝負となった。
2.完全タイム差検証
ほとんどの馬が前走から1秒以上パフォーマンスを上げているというありえない完全タイム差になっている。2.1秒程度は低くみるべきである。
3.各馬の分析
1着 6番 モズベッロ 牡 4 池添謙一 52 2.26.9 34.5
まずまずのスタートから道中は比較的インの中段を追走し、3角から徐々に外に出していき残り600mの手前からスパートを開始すると直線では外からグイグイ伸びて1着となった。
早めにスパートするロングスパート戦で持続力を活かした形なので、軽ハンデが活きたのは明らか。コーナーでの加速が出来てロングスパート戦が得意なことが強みになるが、斤量が重くなればここまでのパフォーマンスを示すことは難しそう。予想する上ではこうした持続力タイプの馬の軽ハンデは要注目ということが今回の教訓となった。
2着 4番 レッドレオン 牡 5 北村友一 54 2.27.3 35.1
まずまずのスタートから自然体で先行し、比較的インのポジションで3番手を追走。中段は一旦ポジションを下げスパートもモズベッロよりは遅らせ、インを距離ロスなく回ることに徹し直線ではいいポジションで追い上げたものの、一瞬前が詰まり外へ立て直すロスがあり、その後はしっかり伸びて2着を確保した。
前が詰まったところのロスはさほど大きくなく、その後の伸び脚も他馬の勢いがさほどでもなく相対的によかったと思える程度なので、あまり強い走りではない。比較的インで距離ロスなく走れたことが大きそうだが、楽に好ポジションを取れるところは強みになりそうだ。
3着 8番 エーティーラッセン 牡 6 藤懸貴志 51 2.27.4 35.8
最初の直線では自然体で一番速く、無理に競る馬もいなかったため、楽に先頭に立てた。その後ペースを支配し、最後まで粘っての3着だった。
3勝クラス馬ながら楽に先手を取れたこと、軽ハンデ、状態の良さを活かした3着となった。低レベルレースではこういうタイプの馬が前残りで穴を空けるパターンはすごく多いので、こうした馬は馬券の相手候補に入れておけばそのうちにいい思いをすることは必ずあると思う。
4着 7番 タイセイトレイル 牡 5 川田将雅 55 2.27.4 34.8
スタートは速くなく後方から5番手の位置となる。向こう正面でペースが緩いのに乗じて外からポジションを上げて行くが、4角の勝負所ではあまり加速は速くなく、直線に入って後方外からいい脚で追い上げたが惜しい4着だった。
最後の直線の末脚はよかったが、前半の追走力が悪く後方のポジションになってしまうこと、コーナーでの加速が今一つであることから、勝ち切るのは難しそうな印象を受けた。今後も好走するには展開の助けが必要そうだ。
5着 14番 プリンスオブペスカ 牡 6 藤井勘一 54 2.27.5 35.5
外の中段の後方追走から向こう上面で外から追い上げ3番手のポジションまで押し上げる。4角は騎手の手がかなり激しく動き加速はイマイチだったが、最後までしぶとい走りで5着に入った。
しぶとい走りなので、持久力戦は向いている。長くいい脚を使えるので乗り方の工夫次第では今後オープン戦で3着以内に入る可能性はありそう。
6着 11番 サトノガーネット 牝 5 坂井瑠星 55 2.27.6 34.8
後方4番手を追走。4角での加速は少し時間を要したが残り500mを過ぎたあたりからスピードに乗ると最後まで伸びてはいた。
追走力が弱いのと、加速に時間がかかるので今回の展開には向かなかった。ただし、末脚は堅実なので今後もどこかでハマる可能性は大いにありそう。
7着 2番 レッドジェニアル 牡 4 武豊 56 2.27.7 34.5
行き脚悪く後方から2番手を追走。4角の勝負所では加速できず一旦最後方まで下がってしまう。最後の直線では一応少しだけ伸びてはいた。
3歳春の京都新聞杯以降は3歳重賞で今一つの成績だっただけに、ここでの1番人気は明らかに過剰評価だった。今後もアテには出来ないと思う。
8着 3番 マスターコード 牡 6 幸英明 53 2.27.9 35.2
インの中段後方追走から、勝負所でもさほど伸びず見所無し。
9着 1番 メロディーレーン 牝 4 岩田望来 49 2.27.9 34.9
最後方追走から、一応残り800mからロングスパートを試み直線でも最後まで外から伸びてはいたが、49キロでもここでは通用しなかった。2勝クラスの馬なので当然の結果ではある。そもそも前半の追走力がないので、話にならないのだが、戦績からそのあたりは想像できるはずであり、この馬が単勝8.4倍もつけていたのは明らかな過剰評価であった。
10着 9番 ロードヴァンドール 牡 7 太宰啓介 55 2.28.0 36.3
2番手追走から最後は伸びず。以前は先行前残りが叶うレースもあったが、もう年齢的に厳しいのかもしれない。
11着 13番 アフリカンゴールド セ 5 福永祐一 55 2.28.1 36.0
5,6番手追走から、4角での加速はかなりよかったものの、直線では全く伸びなかった。
この馬の近走の成績から、最後伸びなさすぎであるが、いい脚が長く使えない馬なので4角で脚を使いきってしまった可能性はある。
ロングスパート戦は向かない。さらに時計のかかる馬場も向かない可能性が高い。
12着 5番 チェスナットコート 牡 6 藤岡康太 55 2.28.1 35.1
後方3番手追走から、インを距離ロスなく回るも見所無し。今後も好走は難しそう。
13着 12番 スズカディープ セ 8 岩崎翼 52 2.28.5 35.7
見所無し。
14着 10番 サイモンラムセス 牡10 小牧太 53 2.31.0 39.1
3番手追走も直線でズルズル後退。年齢的にもう競争できるレベルの能力はないのだろう。
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