超豪華メンバーによる好勝負だったので、下位になった実力馬のメンバーまでしっかり分析、回顧することに意義があるレースとなった。アーモンドアイが前走よりもパフォーマンスを落としていたのは、各馬の前走と比較することでよくわかる。
1.レース結果の基礎データ
2020年 6月 7日(日) 3回東京2日 天候: 晴 馬場状態:稍重
11R 第70回安田記念
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝 1600m 14頭立
馬場差 -1.0 完全タイム差 -0.2
タイムランク C メンバーランク B
LAP :12.1-10.9-11.2-11.5-11.6-11.4-11.0-11.9
通過:34.2-45.7-57.3-68.7 上り:68.6-57.4-45.9-34.3
前日夜に雨がかなり降ったものの、馬場の回復が速く時計の出る馬場になっていた。ただ、ヴィクトリアマイルの馬場差-1.7の馬場ほど速くはなっていなかった。
2.完全タイム差検証
やや過大評価。インディチャンプを物差しにして、0.7秒ほど低く見た方がよさそう。こうして各馬の前走とのパフォーマンス差を比較してみると、上位入線馬の中では、アーモンドアイだけが前走よりパフォーマンスを落としているのがよくわかる。
なので、グランアレグリアが無茶苦茶強く見えたものの、そこまでズバ抜けた強さではないと考えた方がよさそうだ。
3.各馬の分析
1着 11番 グランアレグリア 牝 4 池添謙一 56 1.31.6 33.7
まずまずのスタートから、先行グループから少し離れて1頭だけになるポジションで追走。4角から早めに少し外から進出して、残り200mの少し手前で先頭に立つとそのまま他馬を寄せ付けず1着になった。
前走の1200mでは追走に苦労して後方の位置になったが、1600m戦では自然体で中段の位置につけ、早めのスパートができることで他馬を出し抜くことができた。L2F-L1Fで11.0-11.9とかなり最後は減速したが、他馬に早めに脚を使わせることで後続の追撃をしのいだ。昨年のNHKマイルのように直線で大きくヨレることなく、気性の成長を見せたように見えるものの、今回のレースを見直してみると、意図的に他馬と接近しないようなポジションで走っていることがわかる。なので、今回かなり能力が高いことを示したが接近戦になったときの不安はまだ残っていると思う。
2着 5番 アーモンドアイ 牝 5 ルメール 56 1.32.0 33.9
スタートが今一つで後方から4頭目のやや後ろの位置を追走する。直線に入ってじっくり外に出していき、残り300mあたりでスパートするとグングン伸びてきたが、絶好調時ほどの勢いはなく、最後の最後でインディチャンプを競り落として1着となった。
他馬の前走とのパフォーマンス差比較からもアーモンドアイが前走よりパフォーマンスを落としていたのは明らか。本来の能力を発揮すれば、最後グランアレグリアに肉薄できていたはず。ただ、今回はスタートが今一つだったので、本来の末脚を発揮してもグランアレグリアに先着するのは難しかったかもしれない。
スタートの出も調子が影響しているのかもしれない。一般的には休み明け2戦目、3戦目と調子を上げていく馬が多いのだが、この馬に限っては1戦、1戦の消耗が激しいので出走間隔を詰めたレースでは能力が落ちる可能性が高いと考えた方がよいということなのかもしれない。
3着 6番 インディチャンプ 牡 5 福永祐一 58 1.32.1 34.1
まずまずのスタートだったが、前半はじっくり構えてグランアレグリアの少し後ろのインを追走。直線に入ってグランアレグリアと同じような位置でスパートしようとするも、ややもたつき、その後伸びるもここでの差を最後まで詰めることができず、最後はアーモンドアイに僅か差されての3着だった。
早めのスパートが出来る馬ながら、そのスパートの性能がグランアレグリアには劣ることを示した。また、最後アーモンドアイに差されたのはやはりこの馬はいい脚が長く続かないということなのだと思う。それでも高い能力を示した走りをした。
4着 3番 ノームコア 牝 5 横山典弘 56 1.32.1 33.8
後方でじっくり脚を貯め、3,4角はインで距離ロスなく走り、直線で大外に持ち出すとグングン伸びてきて最後に4着まで浮上した。
ゴール直前の伸び脚はアーモンドアイよりも目立つものだった。やはりこの馬の末脚の能力は高い。
5着 8番 ケイアイノーテック 牡 5 津村明秀 58 1.32.3 34.3
後方追走から、3,4角でスパートし、直線に入ってグランアレグリアすぐ外の後ろの位置でまでポジションを押し上げ、そこから鋭い脚は使えなかったものの、しっかり伸び続け5着を確保した。
末脚が切れない分をコーナーの加速で補う作戦だったようだ。これほどメンバーが強くなければ、コーナーで早め先頭に立って、そのまま直線で押し切る競馬が可能かもしれない。NHKマイルC以来一切馬券に絡めていない馬ながら、久々にチャンスはあるかもしれない。
6着 9番 アドマイヤマーズ 牡 4 川田将雅 58 1.32.3 34.7
3番手追走から、直線に入って騎手の手が激しく動くもののややもたつき、最後まで伸びてはいたものの、6着まで。
末脚はあまり速くなく、並んだ時の勝負根性では走る馬なので、日本の馬場では瞬発力が足りないということのようだ。
7着 2番 ダノンキングリー 牡 4 戸崎圭太 58 1.32.4 34.6
中段のインを追走するも、直線入り口でもたつき、最後まで伸びてはいるが大した脚ではなかった。
いいところがなさすぎの走りで、この距離、このペースでは持ち味が発揮できないということなのかもしれない。
8着 14番 ダノンスマッシュ 牡 5 三浦皇成 58 1.32.4 35.1
先頭に立ち、直線はいってすぐまではいい脚を見せていたものの、残り300mあたりから脚色が鈍った。
やはりマイル戦は合わないようだ。
9着 7番 ペルシアンナイト 牡 6 田辺裕信 58 1.32.7 34.6
中段のやや後方追走から、直線に入って外に出して伸びようとするも大した脚ではなかった。
東京での好走実績がまるでないように、東京の長い直線勝負には向いていない。
10着 13番 ヴァンドギャルド 牡 4 岩田望来 58 1.32.7 34.8
中段追走から、直線の末脚は大したことなかった。
追走で脚を使ってしまったようで、前走のような末脚を発揮するのは、かなり後方で脚を貯める必要がありそう。なので、好走できるレースの幅は狭そうだ。
11着 10番 ミスターメロディ 牡 5 北村友一 58 1.33.2 35.7
2番手追走から、ダノンスマッシュと同じよう馬場所で脱落した。やはりマイル戦は向かない。
12着 12番 セイウンコウセイ 牡 7 内田博幸 58 1.33.4 35.6
4、5番手追走するも直線ではまるで伸びず。
伸びはしなかったが、けっこう粘れてはいた。この距離、このメンバーでこれだけやれて、前走の走りも悪くなかったので、メンバーの弱い1200m戦になれば、久々に馬券に絡む可能性はありそうに思える。
13着 1番 ダノンプレミアム 牡 5 レーン 58 1.33.6 36.0
インの4番手あたりを追走。直線に入ってすぐの手ごたえはよかったが、残り300mあたりで脱落した。
先行力があり中々バテないのが強みの馬であるが、直線での末脚のスピード比べでは分が悪かった。あと、この馬は平均ペース以上のレースでは好走できない。
14着 4番 クルーガー 牡 8 石橋脩 58 1.33.8 35.4
最後方追走から最後までいいところなし。ここでは能力が劣ったのは明らか。
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