成績の安定している馬が不在の難解なレースであったが、終わってみれば前残りの決着となった。
今年は例年以上に前走巴賞に出走した馬が多かったが、巴賞で好走した馬が不発に終わり、力を出せなかった馬が上位に来た。例年、巴賞で好走した馬は苦戦することが多いこのレースの特徴を踏襲する結果になった。このことはこのレースの特徴として、今後覚えておく必要がありそうだ。
本命にしたゴールドギアは不発だったが、上位人気勢がアテにできない状況だったので、後悔はなく今後もこういう場合は同じように攻めの予想をしていこうと思う。ただこういう予想のケースは自信度が極めて低くなる。
1.レース結果の基礎データ
2019年 7月14日(日) 2回函館4日 天候: 曇 馬場状態: 良
11R 第55回農林水産省賞典函館記念
3歳以上・オープン・G3(ハンデ) (国際)(特指) 芝 2000m 16頭立
馬場差 -0.2 完全タイム差 +0.7
タイムランク D メンバーランク D
LAP :12.7-11.7-11.9-11.7-11.8-11.9-12.0-12.0-11.6-12.3
通過:36.3-48.0-59.8-71.7 上り:71.6-59.8-47.9-35.9
全国的に雨が降り続いた地域が多い週であったが、函館はさほど馬場は悪化しなかったようだ。
レースは平均ペースとなった。ラップタイム的には巴賞とそう大きく変わらないものの、巴賞は前が競り合ったり、早めにマクる馬がいたりと、先行馬に苦しい展開となったが、このレースは前の馬が競り合うことが少なく自身のペースで走れる展開となった。やはりラップタイムだけではく、レース映像をよく見ないとレース展開の状況は正確に把握できないということなのだと思う。
2.隊列分析
直線入り口でかなり縦長になっているが、ハイペースではなく平均ペースでまだ前が比較的余力を残している状況なので、こうなると前にいなければどうにもならない。
3.完全タイム差検証
前走好走してダメだった馬、前走力を出せなかったが今回は好走した馬が入り乱れる結果となったため、大きくパフォーマンスを上げた馬、下げた馬が混在しているが、この完全タイム差は妥当だと思う。
4.各馬の分析
1着 4番 マイスタイル 牡 5 田中勝春 56 1.59.6 35.9
スタート後、ハナを取り切って、やや速い平均ペースでレースを引っ張る。直線の手前でマイネルファンロンに一旦交わされるも最後に差し返して1着となった。
巴賞に比べると、先行力のある馬が少なかったため、この馬が先行できると予想するのは容易ではあったが、この馬、好走と凡走を繰り返すムラ馬であるため、この馬を信頼すること自体が大きなギャンブルとなる。
今回のように気分よく先行できれば、最後までしぶといことは戦績からわかっていることではあるが、それだけに今後もこの馬の扱いは難しくなる。今回も相手候補としてピックアップすることができたが、常に相手候補として警戒すべき馬ということなのであろう。
2着 6番 マイネルファンロン 牡 4 丹内祐次 54 1.59.6 35.6
スタート後先行争いはせずマイスタイルにハナを譲り2番手を追走、最後はマイスタイルを捕らえるかに見えたものの、最後は差し返されて2着となった。
マイスタイルより少し離れた2番手で他馬に絡まれることなく自身のペースで先行できていたので、マイスタイルとは明らかに能力差があることがわかる結果となった。
前走は厳しいペースで能力を発揮できなかったが、1600万条件戦勝ちの真完全タイム差がよかったように、重賞でも自身のペースで先行できれば好走出来る可能性があることは示した。
3着 10番 ステイフーリッシュ 牡 4 中谷雄太 57.5 1.59.9 35.3
4番手追走から、勝負所でスパートし、脚は速くはないものの、最後まで脚色衰えることなく3着になった。
相変わらず、長く脚を使える持続力はあるものの、トップスピードは速くない。しかしながら毎度安定して自身の能力を発揮するので、2,3番手候補として常に警戒すべき馬である。
4着 5番 ドレッドノータス セ 6 菱田裕二 56 2.00.1 35.7
3番手を先行できたので、前残りの流れに恵まれての4着との印象が強いが、前走の巴賞と同等の能力は発揮出来ているので、安定して能力が発揮できる馬ということなのかもしれない。
また、調教ではステイフーリッシュと併せ馬でステイフーリッシュを抜かせない調教だったので、かなり調子がよかったようだ。
5着 2番 アメリカズカップ 牡 5 北村友一 55 2.00.3 35.3
中段の最内を追走し、最後は距離得を活かしてなだれ込んでの5着。
早め進出して外を回った馬がバテたのに乗じて距離得を活かした印象なので、あまり評価できる着順ではない。
6着 1番 レッドローゼス 牡 5 蛯名正義 56 2.00.4 35.6
中段追走から、残り600mで外に出して進出するも、ジリジリとしか伸びず。
この馬は持続力はあるもののトップスピードは速くなさそうなので、さらに上がりのかかる展開の方がよさそう。前走のオープン特別はたまたま展開がハマったということで、現時点ではオープン特別で安定して能力を発揮出来る馬ではないということだと思う。
7着 8番 メートルダール 牡 6 武藤雅 57 2.00.8 35.2
前半はかなり後方を追走、残り600mで外に出して進出しようとするも、他馬も同じように追い上げているのでなかなか前に出れず。直線で大外から伸び続けて少しだけ着順を上げた。
最後は上がり3ハロンタイム最速の末脚を見せたが、後方の位置取りでは話にならない展開になったことが大きかった。もともと戦績から緩い馬場はよくないとわかっていたのだが、それが前半の追走が今一つだった要因の可能性はある。ただ、後半はしっかり追い上げていたので調子は悪くなさそうで、高速馬場で見直せそう。
8着 14番 ナイトオブナイツ 牡 6 池添謙一 56 2.00.8 35.4
後方から、メートルダールのすぐ外の少し前を追走し、残り600mで外に出して進出し、メートルダールよりはコーナーでの反応はよかったが、他馬も同じように追い上げているので着順を上げることができなかった。
最近後方からの追い込みで末脚が安定的に発揮できるようになってきたものの、やはり重賞では能力は足りない。前走のオープン特別2着は展開に恵まれた要素が大きかったということである。
9着 13番 アーバンキッド 牡 6 横山武史 54 2.00.9 35.7
中段追走から直線でもさほど伸びず、この程度の実力ということ見所なし。
10着 9番 ポポカテペトル 牡 5 岩田康誠 55 2.01.0 35.6
後方追走から、最内を回るもさほど伸びず。やはりオープンでは実力不足。
11着 15番 ゴールドギア 牡 4 幸英明 52 2.01.0 36.1
後方追走から、3角のかなり早めに外から進出しようとするもの、最後はバテた。
後方追走ではどうしようもない展開だったので、後方でじっくり構えて末脚に賭けても届かなかったと思われるので、早めの進出は仕方なかっただろう。この馬のよさを発揮出来なかったレースなので、これで見限ることはないと思う。ただ、52キロの軽ハンデを活かせなかったので、軽ハンデが活きる馬ではないということは覚えておきたい。
12着 7番 カルヴァリオ セ 6 吉田隼人 54 2.01.0 35.4
後方追走から、直線でもさほど伸びず。オープンでは実力不足。
13着 16番 エアスピネル 牡 6 福永祐一 58 2.01.1 36.2
中段追走から、外を回って追い上げようとするも、直線では全く伸びなかった。
戦績的にこのメンバーでは格上の馬であったが、外枠で常に外を回った距離ロスはあるし、そもそもこの馬はマイル戦がベストで2000mは距離が長いということだと思う。昨年の札幌記念で負けた時のルメール騎手のコメントでも距離を理由にしていた。菊花賞3着の実績はあるが、近年の菊花賞は長距離戦らしからぬ展開になるので長距離実績には加えない方がよい。そのため、次走マイル戦に出走したら、ガラリ一変の可能性はありそうだ。
14着 3番 ブラックバゴ 牡 7 斎藤新 55 2.01.5 35.8
後方からまるでのびず。もうオープンでの好走は無理ではないだろうか。
15着 11番 マイネルサージュ 牡 7 国分恭介 55 2.01.6 35.7
後方からまるでのびず。もうオープンでの好走は無理ではないだろうか。
16着 12番 スズカデヴィアス 牡 8 勝浦正樹 57.5 2.01.9 36.2
後方から、まるで伸びなかった。コーナーで馬が嫌気を出していたということなので、気性的にアテにできないムラ馬ということのようだ。戦績どおり重賞では能力は足りないものの、オープン特別ではやや警戒が必要という馬なのだと思う。
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